子どもたちが大好きなプールや水遊びの季節がやってきました。ただ、怖いのは水の事故。国は三月に、幼稚園や保育所での事故を防止するため、監視態勢の強化などを定めたガイドラインを通知。全国の自治体は、今シーズンの安全の徹底をあらためて園に求めました。

◆指導役、監視役を分ける

 「はい集まって! 次は『けのび』をするよー」。園の屋内プールで一年中、水泳の授業があるひかり第一幼稚園(愛知県春日井市)。年長児約30人が水に潜ったり、バタ足などを繰り返したりして泳ぎの練習をしていました。

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 △出典:中日新聞

 体育主任の長谷川寛治さんによると、学級担任ら2人は、子どもが死角に入らないよう、水の中やプールサイドを移動しながら監視します。「子どもが教諭の後ろに回ったときは、数秒おきに振り返って確認している」と話します。 子どもたちを指導し、安全を見守っているのは3人の教諭。体育の専任教諭と学級担任、担任を持たない教諭です。常に子どもたちに異変があれば、水に飛び込める態勢を保っています。園では以前からこの態勢で授業を行っているといいます。

 もしもの場合に備えて、教諭全員が心肺蘇生などの救命講習を受けました。自動体外式除細動器(AED)は、プールから扉を一枚隔てたところに備えてあります。「子どもの命が最優先。何か起きたときには、すぐに助けることができるようにしています」と長谷川さんは強調します。

◆18%の園で取り組み不十分

 内閣府が3月に策定した事業者向けの事故防止ガイドラインは、園におけるすべての事故防止を目指したもので、プールや水遊びに関する点も盛り込みました。神奈川県内の幼稚園で2011年に起きた死亡事故の反省点が反映されています。

 消費者庁の消費者安全調査委員会がまとめたこの事故の報告書によると、事故は園内のプールで発生。当時は教諭1人が園児11人に教えていました。3歳男児が水に浮いているのを、たまたま近くにいた別の教諭が見つけて引き上げましたが、男児は搬送先の病院で死亡しました。指導していた教諭は、ビート板などの片付けをするため目を離したといいます。

 報告書は、男児がおぼれたきっかけは不明としたものの、「監視態勢に空白ができ、発見が遅れたのが事故の原因」と結論。園の緊急事態への備えが不十分で、救命処置が迅速に行えなかったことも指摘しました。

 ガイドラインでは、▽監視者は監視に専念する▽十分な監視態勢が確保できない場合には水遊びを中止することを選択肢とする▽-などを定めました。

 しかし消費者庁が2016年4~5月、全国の幼稚園や保育所、認定こども園を対象に抽出調査したところ、「指導役と監視役を別々の人が行っていない」「心肺蘇生などの研修が未実施」など、18%の園で取り組みが不十分でした。

 同庁によると、溺れた場合は、声を上げたり手を振ったりして助けを求めることが難しいといいます。「付き添っている大人は、子どもから目を離さないようにしてほしい」と呼び掛けています。