おーい!竜馬

2017/12/06

未だに現役を続けるマンガ界の巨匠「小山ゆう」が、
「武田鉄矢」という異色の原作とコンビを組んで描いた作品だが、
20年ほど前に読んだ記憶のある本作を改めて読み返してみると、
まことに傑作であった。

坂本龍馬という人物自体が、ある種、嘘と本当が入り混じったような
伝説の存在になっている部分があるわけだが、
その存在とマンガという媒体が見事にマッチしており、
史実の間にフィクションを挟み込むことで、
マンガとしての面白さと、歴史劇のリアリティを両立させたわけである。


また、当初どこまで狙って描いたのかわからないが、
幼少期から青年期の終わりまでに描かれる人物劇と、
終盤で描かれる政治劇という構成が完璧であった。

これは、かつて天才「手塚治虫」が、
ブッダで展開した手法と全く同じ方法論である。

ブッダという偉人の宗教哲学を
読者に読ませる事の難しさを理解していた手塚治虫は、
人間としてブッダの人生を描くことで、読者を導くことに成功した。

本作も同様に、竜馬という人物が最後に成し遂げる
薩長同盟や大政奉還といった史実を最大限に盛り上げるために
非常に入りこみやすい少年の成長物語として竜馬を描いたのである。

それ故に、少年の成長する時代劇マンガとしての面白さと、
日本の史実を浪漫に溢れて描く政治劇という
二面性を持つ名作に成り得たのだ。

坂本龍馬ほど人気のある人物が、
なぜ他の作者の手で再度マンガ化されないのか。

それは誰もこの作品の完成度を超える事ができないからなのだろう。

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